Richard Wong Laboratory 金沢大学

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研究内容

Our Research-Nuclear pore complex (NPC)

1) 核膜孔複合体周辺の構造ダイナミクス

2) 核膜孔複合体、核輸送およびその関連疾患

3) 核膜孔複合体へのウイルス侵入ルート

私たちは何を発見したのでしょうか?

2008年、私は金沢大学に赴任し核膜孔複合体(NPC)の研究を行う研究室を立ち上げました。 NPCは核と細胞質を隔てる膜=核膜を貫く穴を形作るもので、核―細胞質間の物質輸送を制御しています。この12年間 (体重が12kg以上増えただけではありません )、私たちの研究室ではNPCの核―細胞質間の物質輸送以外の機能を探求しました。

NPCは約30種類のヌクレオポリンと呼ばれるタンパク質から構成されています。私たちは、ヌクレオポリンRae1・Tpr・Nup358/RanBP2・Nup62・Nup58・Nup88が、細胞分裂期に紡錘体の二極化や中心体・中間体の恒常性の維持に重要な役割を果たすことを明らかにしました。例えば、私は、細胞分裂のために複製された染色体をつなぎとめる役割があるコヒーシンのサブユニットの一つ、SMC1のリン酸化が、細胞分裂期にRae1との結合を促進することを見出しました。この現象は最近、腫瘍形成初期における抗有糸分裂カタストロフィー機構の一部であることが他の研究者によって確認されました。また、私たちは、扁平上皮がんにおいて、ヌクレオポリンNup62がリン酸化されることにより転写因子p63が核内に輸送されること、また核内輸送タンパク質KPNA4の高発現ががんを促進するメカニズムを発見しました。

2012年に、私たちは核膜孔タンパク質Tprがオートファジーに関与することを見出し、そして最近、このTpr-オートファジー経路が、脳腫瘍の一つである上衣腫形成に関わることを明らかにしました。また、私たちは高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて、がん細胞やオルガノイドのNPCが、液-液相分離状態(LLPS)を形成することを明らかにしました。また、リアルタイムのHS-AFM画像から、NPCの中心はクモの巣状の構造であることが示唆されました。

現在は、Nupsタンパク質がどのようにゲノムと相互作用し、遺伝子発現の制御において重要な役割を果たすか ? また、さまざまな種類のウイルスやその構成タンパク質がどのように細胞内を移動し、NPCをハイジャックしているのかにも興味を持っています。

インタビュー

放送局:北陸放送番組「ココカラ」

内容:Richard Wong教授が自ら、自身の研究内容について紹介します。動画は下記をクリックして頂ければご覧いただけます。

【細胞の命運を握る、ナノポアの謎に迫る!(2019-8-28)】

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